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不動産会社の非上場株式評価、販売用不動産はどう評価する?税理士が解説

はじめに

友人の税理士黒〇先生からご質問をいただきましたので、今回はその回答を記事にしたいと思います。
税理士黒〇先生のようなお悩みをお持ちの方のために参考になれば幸いです。

監修 代表税理士 松尾大志

不動産会社の相続税評価、路線価だけで計算すると危険な理由

不動産会社を経営されているオーナー様、あるいはそのご家族から、またプロの税理士さんからもこんなご相談をいただくことがあります。

「自社の株価を計算するとき、会社が持っている不動産はどう評価すればいいのですか?」

一見シンプルな質問ですが、不動産会社ならではの落とし穴があります。

それが、貸借対照表上の「棚卸資産(販売用不動産)」の評価です。

この記事では、不動産会社の非上場株式(自社株)を相続税評価する際に、実務で誤りやすいポイントと正しい考え方を解説します。

固定資産の不動産と、棚卸資産の不動産は評価方法が違う

不動産会社の貸借対照表には、多くの場合、性質の異なる2種類の不動産が計上されています。

▶固定資産の不動産:自社ビル、賃貸用マンションなど、会社が保有・使用するための不動産

▶棚卸資産の不動産(販売用不動産):分譲用地、建売住宅など、販売して利益を得るための不動産

固定資産の不動産は、私たちがよく知る「路線価方式」や「固定資産税評価額」を使って評価します。ここまでは、多くの方がイメージされる通りです。

参考:「路線価方式」や「固定資産税評価額」についてはこちら

ところが、棚卸資産である不動産は、これとまったく違う方法で評価します。

ここを固定資産と同じ路線価方式で計算してしまうと、税務調査で指摘を受ける可能性がある、実務上非常に間違えやすいポイントです。

実際に国税局からも「誤りやすい事例」として注意喚起されています。

棚卸資産の不動産は「これから販売する前提」で評価する

棚卸資産である不動産の評価は、財産評価基本通達4-2、132、133という規定に基づいて行います。

考え方のポイントは、
ポイント「今すぐ売ったらいくらか」ではなく、「これから販売するまでに、まだ会社が負担すべきコストや、まだ得ていない利益がどれだけ残っているか」を差し引いて評価する、という点です。

計算式にすると、次のようになります。

評価額 = 販売価額(時価) − 適正利潤の額 − 予定経費の額 − 消費税額相当額

それぞれの項目を分解すると、こうなります。

販売価額(時価)⇒その不動産を、評価の時点で販売するとしたらいくらになるか
適正利潤の額⇒会社に通常帰属するはずの利益(会社の実際の利益率などから算出)
予定経費⇒販売までにかかる見込みの経費(仲介手数料、広告費、残りの工事費など)
消費税額相当額⇒その販売に係る消費税・地方消費税額(土地は非課税、建物は課税)

【ケーススタディ】
たとえば、
想定売却価格5,000万円(建物2,000万円・土地3,000万円)の建売住宅を、平均利益率20%の会社が保有しているとします。

▶適正利潤:5,000万円 × 20% = 1,000万円
▶予定経費(3%と仮定):150万円
▶消費税相当額(建物分):約182万円

評価額 = 5,000万円 − 1,000万円 − 150万円 − 182万円 = 約3,668万円

このように、「時価から、これから出ていく経費と、まだ実現していない利益を差し引く」という発想で計算します。

「結局、帳簿の取得価格のままでいいのでは?」という疑問

ここまで読んで、「計算が複雑すぎる。だったら帳簿に載っている取得価格のままでいいのでは?」と思われるかもしれません。
税理士黒〇先生も同じ疑問を抱いておりました。

結論から言うと、
注目!原則として簿価そのままでは正しくありませんが、状況によっては簿価が実質的に近い評価額になるケースもあります。

簿価に近づきやすいケース

▶取得してからあまり時間が経っておらず、造成や建築がほとんど進んでいない
▶取得後、地価や相場に大きな変動がない

注意が必要なケース

▶造成や建築工事がかなり進んでいる、または完成して販売活動中である
▶取得時から地価が値上がりしている

つまり、
ポイント「未着手の土地」と「造成・建築が進んだ物件」では、同じ棚卸資産でも評価の考え方を分けて検討する必要がある、ということです。

「3年以内に取得した不動産」のルールとの違いにも要注意

相続税の株価評価には、もう一つ「評価会社が課税時期前3年以内に取得した土地・建物は、路線価ではなく通常の取引価額(時価)で評価する」という別のルールがあります(財産評価基本通達185)。

不動産会社の場合、在庫の回転が早いため
「うちの物件はほとんど3年以内取得だから、このルールが適用されるのでは?」
と心配になるかもしれません。

しかしご安心ください。
この「3年以内ルール」は、あくまで固定資産としての土地・建物が対象であり、棚卸資産(販売用不動産)には適用されません。

棚卸資産は取得時期にかかわらず、常に先ほどの財産評価基本通達133の方法で評価します。

まとめ:不動産会社の自社株評価は、業種特性を踏まえた専門知識が必要です

不動産会社の相続税評価では、

固定資産の不動産 → 路線価方式等
棚卸資産の不動産 → 財産評価基本通達133に基づく個別計算

という、2つの異なる評価方法を正しく使い分ける必要があります。

特に棚卸資産の評価は、単純な当てはめではなく、
物件ごとの進捗状況(未着手か、造成・建築が進んでいるか)を踏まえた個別の判断が求められます。

まつお相続税理士事務所では、相続税申告を専門に200件以上取り扱ってきた経験を活かし、不動産会社様の自社株評価や事業承継に伴う相続税のご相談にも対応しております。

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